株式会社ヤスナ設計工房

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原点×挑戦 かつてない変化に挑むヤスナ設計工房

ヤスナ設計工房の経営の舵を取る山口社長と、現場マネジメントを統括する千代坂副社長に、
当社や産業界の現在とこれからについて、語ってもらいました。

激変する産業界

近年の日本、世界の産業界の動向をどのように見ておられますか?

山口社長(以下社長):新型コロナウイルスの感染拡大以降、飲食や観光といった業界が大きな打撃を受けました。一方で当社のフィールドであるものづくり、特に発電や環境、ロボットといった分野は、幸いなことにその余波を免れ、社会の基盤を支えつづけていますが、今後の動きは引き続き注視していく必要があります。

千代坂副社長(以下副社長):発電などの海外案件では一部で進捗に遅れがみられるので、今後の対応の仕方を考えています。社内の動きとしては、他社の例に漏れず、当社でもテレワークを導入しており、特に設計部門の働き方は今後も時代に合わせて変化していくとみています。

社長:先ほど、ものづくり業界の現状に大きな低迷がないと申し上げましたが、一方で将来を見据えるとかつてないほどの変化の波が訪れています。近年、産業革命以来私たちの社会を支えてきた石炭や石油といった化石燃料が見直され、より持続可能な社会に適したエネルギーが求められています。SDGsやグリーンニューディールといった言葉が連日メディアを賑わし、2020年には日本政府が「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。しかし「言うは易く行うは難し」というように、今後わずか29年の間にCO2排出をゼロにすることは、一般に思われている以上の困難を伴います。仮に全ての発電と製鉄を水素に置き換えるとするなら、莫大な規模の投資と時間、革新的な技術が必要になり、その実現を担う日本の産業界は、過去にないほどの大変な事態を迎えているのです。

副社長:火力発電においては、石炭を微粉炭にして燃焼させる方法も主流であり、私たちも得意としています。「これからは石炭のかわりに水素を」といった声を耳にすることがありますが、商業ベースに乗った水素技術はまだ確立されていません。しかし、期限だけが先に設定されているというのが現状です。

社長:しかし、好む、好まざるにかかわらずこのトレンドは絶対に止められません。であれば我々だけでなく、主要な顧客である重工業各社を含め、日本産業界全体がこの流れに乗って、ともに技術開発に取り組むことを成長戦略に据えるべきだと考えています。

副社長:最近は顧客との商談でもこの話題ばかりになっています。現状では次世代エネルギーとして水素が注目されていますが、それ以外も含めて、業界全体で可能性を模索しており、私たちもできる限りの対応をしていかなければなりません。

激変する産業界

激変する産業界

ヤスナ設計工房の現状

激しい変化に向き合うヤスナ設計工房ですが、近年はどういったことに注力してきたのでしょうか?

社長:当社は2022年に創立60周年を迎えます。50周年を迎えた時、従来の機械設計に加えて、電気制御のノウハウを獲得し、技術的なバリエーションを増やすことを目標に掲げました。これは、現在AIを活用したDX事業に形を変え、間もなく皆さんにその全貌を発表できると思います。もうひとつの目標に掲げたのは、ダイバーシティ経営です。現在、ベトナムに「YASNA VIETNAM」を設立しており、現在は35名の外国籍社員が在籍しています。今後も国籍や性別を問わず、設計を志す同志であれば、どんどん仲間に加えていきたいと考えています。

副社長:仕事に対する意識も大きく変わってきました。当社が設計する機械や設備は、数十年間使われることを前提にしています。そのため、例えば数値的な有効性が証明されても、既存の技術を変えることに慎重にならざるを得ない面があります。だからといって、決められた仕様を守っていれば良いということにはなりません。近年は「品質の確約」といって、決められた仕事を確実にすることはもちろん、50年以上の歴史と実績の中で培ってきた信頼性をもとに、顧客の手間を最小限に減らすようなプラスαの工夫をするようになりました。「ヤスナに頼めばすべて完結してくれる」と言われる、提案型の技術サービスを常に追求しています。

社長:いつも社員に伝えているのが「かゆいところに手が届く仕事」です。顧客の困りごとを理解して、どうすればお客様に喜ばれ、更に信頼していただけるのかを考える。この重要性を訴え続けてきたことで、社員の意識や姿勢も随分積極的になってきたと感じています。

品質の面ではいかがでしょうか?

社長:品質には従来から絶対的な自信をもっています。
当社は2001年からQMS(QualityManagement System=品質管理システム)を構築し、組織全体で品質改善に継続的に取り組んでいます。外部機関の審査を受けてもパーフェクトに近い評価をいただくことが多く、顧客に「そこまでしなくても」と言われるほど、品質管理を徹底してきました。

副社長:その一環として、社員の勉強会、技術研鑽にも多くの時間を割いています。2001年から現在に至るまで、部署ごとにテーマを設けて、人為的ミスの起こらない品質マネジメントと技術の底上げに常に取り組んでいます。

ヤスナ設計工房の現状

ヤスナ設計工房の現状

更なる飛翔を目指して

ヤスナ設計工房が今後も更に成長するためには、何が必要でしょうか?

副社長:先ほど社長の言葉にもあったカーボンニュートラルを前提とした技術、これをいかに獲得していくのかが、当社の命運を握っています。例えばメカ設計の人間がCO₂について学ぶというように、まずは現場の社員がこれまで経験したことのない分野に踏み出す必要があります。そのためにも「上の立場にある者から新しいことに取り組む」意識が不可欠です。私を含め、ベテランになるほど従来のやり方を変えることには抵抗を感じますが、それでも自ら率先してチャレンジする姿勢を見せることが、部下や若手の成長を促すことにもなると思っています。

社長:また、私たちは多様な強みをもった企業と取引をしており、この「テクノロジーのチェーン」を活用することも、次世代の扉を開くカギになると思っています。例えば、「水素エネルギー」と一口に言いますが、水素の「生成」「運搬」「貯蔵」「圧縮」「利用」といった工程には全く異なる技術が求められます。それぞれの技術をもつ企業とのつながりを有している当社であれば、そのインターフェースのような役割を担い、単一の技術を連結することもできるはずです。国際間競争が激化する現代において、日本が勝つには、優れた技術を結集する以外にないと考えています。

ヤスナ設計工房が目指すもの

ヤスナ設計工房が目指すもの

組織づくりの面では、どのような目標をおもちでしょうか?

社長:ベトナム進出がある程度軌道に乗った現在、外国人材の採用は更に増強していきたいと考えています。現在、関連会社を含めて約260名の社員が在籍していますが、今後国際化、あるいはよりダイバーシティを重視した採用戦略を継続することで、500名近いボリュームにまで組織を拡大できると思っています。

副社長:そのためには、私たちがもっと受注を増やしていかなければなりませんね。過去の経験を十分に活かしながらも、過去の実績にとらわれない発想や技術をもつことで、受注量もこれまでの2倍と言わず、2.5倍、3倍と増やしていけると確信しています。

社長:現状でも、重工業をはじめ、当社の受注量はかなりのボリュームがありますが、今後革新的技術の開発が進めば、水素ビジネスを含め市場はさらに拡大していくと考えています。また、現在主流である業界だけでなく、例えば総合商社と協業することで、全く新しい市場が生まれる可能性も感じています。

社員へのメッセージ

ヤスナ設計工房の社員の皆さんの働きは、どのように評価しておられますか?

社長:当社は技術に特化した会社ですから、仕事中は皆が黙々と、真剣に業務に集中しています。また、QMS活動や勉強会にはベテランから若手までが参加し、技術や知識の向上に対するモチベーションも高いと思います。一方で、一歩仕事を離れれば、こちらが心配するぐらいにはしゃぐような一面ももっており、「よく働きよく遊ぶ会社」というのが第一の印象ですね。

副社長:平均年齢も36~37歳とバランスがとれていますよね。経験と知恵、技術を蓄積してきたベテランと、アイデアや行動力をもった若手がうまくかみ合ったときには、驚くほどの成果を上げます。日頃は寡黙なおじさんでも(笑)、ここぞというときの一言が顧客を納得させるようなシーンもあり、若手がリスペクトしながら、うまく吸収するといった流れがより生まれればよいですね。

最後に、社員の皆さんへのメッセージをお願いします。

副社長:これからのヤスナ設計工房を考えるとき、一人ひとりの社員が、その中心にいると考えてほしいと思います。私もそうですが、目先の納期を守ったり、部下を教育したり、日常の仕事に追われていると、会社と自分を切り離して考えてしまうことがあります。もちろん、適度な距離感をもつことは大切ですが、「自分の会社」ではなく「自分も会社」であるという当事者意識をもってもらいたい。そういう社員が一人でも増えることで、これからいかに産業構造が変わったとしても、ヤスナ設計工房は持続していくし、新しいチャンスをつかむこともできると思います。

社長::少し大きな話になってしまいますが、我々の究極の目標であり原点は、技術を通して産業界に貢献し、人々の生活を豊かにし、社会を均等に発展させていくことにあります。この意味を今一度深く考えていただきたいと思います。言い換えるならば、ヤスナ設計工房で働くということは、持続可能な社会の礎をつくるということに他なりません。ぜひそうした覚悟と誇りをもって、今後も活躍していただきたいと思います。

社員へのメッセージ

社員へのメッセージ

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